プレマラヤム 第11回 ―調和の欠如 人類の危機―

今回大聖は、調和(ユニティ)の感覚の欠如から招来される人類自身が創り出した問題点、世界の破滅を持ち来たらす問題点、を抽出されます。そして、惑星の生命体系を破壊しかねない、人類自身が創り出し放置してきたこの深刻な危機に対し、人類に自覚を促し、特に自ら求めて人類の統治機構に入っていった人々、つまり政治統治機構と宗教支配機構にある人々にその責が帰されていることを指摘されます。

人類は、危機の時代を体験しています。世界のあちこちにおいて、神の名のもとであるいは金銭のための、戦争と大量殺戮が存在します。発展途上国では、何百万もの子供たちが毎年飢餓で死んでいます。核実験と自然に対する無関心が生態系の破壊を引き起こしています。この主題について、スワミジの見解はいかがでしょうか?

神の名を借りた戦争は、人類の無知のせいで起こっている。すべての人間が自分のことしか考えなければ、人は利己的な態度を助長させる。霊性のことを考えなければならない人々が自分たちのことしか考えなければ、彼らはエゴイズムに包まれる。その理由とは、人は金持ちになりたい、世界に名を馳せたいという欲望を持っているからなのだ。そのような利己的な態度があるべきではないのだが、残念なことに、それは霊性の指導者達の間にさえ蔓延しているように思われる。宗教に従事する人々がこの利己的な態度を持つとき、宗教、カースト、信条の違いが強調される。もしあなたがこの事態に決着をつけたいなら、唯一の解決方法は、あなたのマインドを完全に普遍の神性のみに集中させることだろう。

神に由来する和合調和(ユニティ) と 物質性に由来する分離異端
あなたたちは飢餓で死んでいる何万もの子供たちのことを話すが、しかしそれは子供たちだけではない。数多くの植物もまた危機に瀕している。あなたたちは、人類の未来について心配するが、しかし滅ぼされている非常に数多くの他の生き物たちが存在するのだ。この破壊のプロセスは既に始まっているが、しかしその原因は神ではない。人は、調和の感覚、他者に善を成すチャリティーの感覚、協力する感覚を失っている。人は、自らの周りに、自分の言語、自分の国、自分の宗教等といった分離区画を作り出している。人は、この世界のすべての人がこの惑星地球の一部であり、同じ惑星に属しているのだということを忘れてしまっている。言語やカーストや信条の違いから離れて、あなたたちはすべて同じ惑星地球の子供たちなのだということを忘れてしまっているのだ。もしあなたたちが人間のあらゆるグループに対して閉塞した分離区画を造り出すなら、あなたたちはさまざまな問題を持つ。この破壊のプロセスから脱する可能性はあるが、しかし、この問題に対する諸解決策を模索することに、あなたたちは関心を示さない。諸国家、諸団体の感情支配から超脱した天心且純真なシンプルな人々のみがこの問題を感じそれについて配慮する能力を持っているように思われるが、しかし、権力の座にある人々、諸国を治めている人々は、そのような諸問題に関心があるようには思われない。政権にある者たちがこれらの問題を気に掛けない限り、問題は続くだろう。

神のみがあなたたちをこの危機から脱するのを助けることができると考えてはいけない。人もまた、〈神に由来する〉調和の感覚、共にある感覚を持たなくてはならないのだ。そしてあなたたちが歩み寄る感覚を持たないなら、あなたたちには望みがないだろう。すべての人が自分のこと、自分の仕事、自分の家族、自分の将来のことにしか関心がない。自分の国に、あるいは全体としての世界に関心があるのは誰か? あなたたちは、人類への自分たちの関心を言葉で言い表すに止め、表面的に、ただ話しているに過ぎない。政権を握っている人々は、これらの問題を容易に解決することができ得るが、しかし彼らは、権力があり、贅沢な暮らしをしているため、これらの問題に解決をもたらすことに関心がないのだ。このことすべての理由は、彼らの無知だ。

この危機と人類史上の他の同様の時期との違いは、何ですか?

人類史上の過去の時期において権力の座にあった人々は、良心を持ち、自分の良心に従って行動していた。彼らは人類を世話していたし、人間性を尊重していた。彼らは、自分たちが治めている人々に対して何らかの奉仕をすることに関心を持っていた。彼らは常に、自分たちが統治者となったその国のために良いことを行なう必要性を感じていたし、自分たちの国の発展に関心があった。彼らはまた、いかなる罪も犯すことを怖れていた。彼らは自分たちのために富を集めることに関心がなく、自分のためにすべてのものを持つことについて考えてもいなかったし、縁故主義、つまり自分のため子供のために蓄えたい、という欲望に過度な関心を持っていなかった。彼らは、神を敬う気持ちと神への愛を持ち、神性を大切にした人々であり、祈っていた。神に対する尊敬の念を持っていなかった場合は、少なくとも彼らは、自分の良心を重んじていた。

したがって世界は、過去の時代には、このような深刻な危機に直面する必要がなかったのだ。群衆を扇動して世界の諸地域を混乱させている今日の統治者たちは、〈神に由来する〉良心を持っていず、〈人がその裡から出で来たった〉神への尊敬の念を持っていず、〈共に被造された〉誰に対しても何に対しても、尊敬の念を持っていないが、しかし自分たちのことだけには、関心を持っている。彼ら、統治機構にある者達は、利己的な態度を持っている。

- 1994年以前の法話から -
破滅が視野に入ってきた2013年の今日でさえ、本質的に同じこの問題を、
扇動されるままに、当事者である人々は放置し続けている。